個別銘柄に投資するために、必ず確認すべき企業情報としてIR資料があります。
IRとは、Investor Relations(投資家向け情報)の略語で起業が投資家向けに投資の判断するための情報を提供する活動です。主な情報としては、経営状態、財務状況、業績の実績、今後の見通しといった情報を載せます。
企業から提示するIR情報は基本的に企業のホームページに載っています。グーグルで「社名 IR」で検索すれば一番早いです。また、SEC(米国証券取引委員会)に提出が義務付けられた資料については、SECのEDGARシステム検索でティッカー入力して検索すれば、確認できます。
https://www.sec.gov/edgar/search/
10-K、アニュアルレポート
「10-K」は日本の有価証券報告書に相当するもので、年に一度SECに提出することが義務付けられています。アニュアルレポートはSECに提出は義務付けられていない広報レポートですので10-Kとは少し違いますが、ほとんど同じ情報が載っています。(それぞれ作成するのも大変ですので…)
「10-K」の構成は大体以下のようになっています。
- 事業概要・リスク・法的事項
- MD&A
- 企業構成(経営陣、組織構造)
- 財務状況
- 事業実績目標に関する経営陣の意見
- 主要事業の概要及び市場動向
- 事業リスク
10-Q
こちらもSECに提出する資料で、四半期報告書です。企業側は締めQの時は「10-K」で代替しているので、実質年間3回提出する必要があります。
こちらは四半期の財務諸表が載っていますが、監査前の情報であることと「10-K」ほど具体的に、また細かく記載はしていないです。
S-1 S-11
IPO(新規上場株式)のためSECに登録するIR情報として「S-1」があります。日本では目論見書に該当するようなものです。
またREITsや投資信託の事業は「S-11」になります。
探してみると、「S-1/A」のような資料もありますが、こちらは情報公開後に修正した資料になりますので、一番最新のものを探してみれば良いです。
膨大な量で読む気にならないと思いますが、その中で確認すべきポイントだけで抑えられれば良いかと思います。
- Use of Proceeds 調達資金の使用目的について
- Cap Table IPO前後の企業の資金調達計画
- Dividend Policy 配当ポリシー
- Dilution 希薄化(発行済株式数が増加することで、株の価値が下がること)
- MD&A 財務状況と事業実績に関する経営陣の意見
- Consolidated Financial and Operationg Data 連結財務諸表
8-K
投資家が知っておくべき重要事項に対する報告書です。どんな時かと言いますと、倒産、リストラ、M&A、有償増資、経営陣の交代、資産売却など。。。特別なことがあった時に、SECに報告するとともに迅速に社外発表する必要がありますが、その報告書が「8-K」です。
DEF-14A(proxy)
日本の株主総会招集通知に相当するものです。
株主総会を行う前にProxy Statementというものがありまして、SECに提出しないといけない書類名がDEF-14Aで略してProxyとも呼びます。
主な掲載内容は、以下の通りです。
- Corporate Governance:理事会の役割・構成
- Board of Directors:理事会メンバの経歴と報酬、次回の候補者のプロフィール
- Executive Officers:経営陣のプロフィール、過去3年間の報酬と賞与額、報酬体系など
- Proposals:株主総会案件
会社の経営陣が妥当な報酬算出プロセスに沿って給料をもらっているか、企業の支配構造に問題はないか。等を確認できます。
13D、13G
スケジュール13Dとは日本の大量保有報告書に相当するもので、上場企業の発行済み株式の5%以上を保有している株主は10日以内にSECに報告しなければなりません。この時提出するのがスケジュール13Dというものです。どのように資金調達して、どんな目的で保有するのかを確認するためです。
関連して、スケジュール13Gというものもあります。こちらは13Dの簡易版で、一定の条件を満たす機関投資家向けの報告書で、13Dと同じようなものです。