LE SSERAFIM（ルセラフィム）というグループは、世界中で急速にファンを増やしています。なぜ多くの人が「私の仲間になれ！」と堂々とメッセージを伝える彼女たちの「仲間」になりたがるのでしょうか。
LE SSERAFIMは、自信と強い意志の象徴として知られています。LE SSERAFIMの曲「Fire in the belly」では、「너 내 동료가 돼라（私の仲間になれ！）」というフレーズが登場します。これは、ステージ上でのキム・チェウォンのパートで、彼女はこの部分を現地の言葉で表現しています。日本では「仲間」と、アメリカでは「クルー」を探しているという意味です。この記事では、彼女らのメッセージが人々にどのように響いているのか、そしてなぜ彼女たちの「仲間」になってしまうかについて探ります。
1. LE SSERAFIMの魅力
LE SSERAFIM（ルセラフィム）は、HYBEのバン・シヒョク会長が直接名付けたグループで、その名前は「IM FEARLESS」のアナグラムから来ています。これは、世界の目を気にせず、恐れることなく前進し続ける強い意志と自信を象徴しています。
ルセラフィムはデビュー曲からその決意を明確に示しています。ミニ1集のタイトル曲「FEARLESS」は、過去に囚われず、恐れずに進むという意志を表しています。「ANTIFRAGILE」では、厳しい時期も壊れない強さを、「UNFORGIVEN」では、否定的な見方にも屈せず、許しを求めない自分だけの道を歩むというメッセージを込めています。
これらの楽曲に含まれる「FEARLESS」「ANTIFRAGILE」「UNFORGIVEN」などの言葉は、「-LESS」、「ANTI-」、「UN-」という接尾辞を用いることで、恐れ・壊れやすさ・許しを求めることからの解放を象徴しており、「否定形3部作」とファンから称されています。ルセラフィムが完成させたこのメッセージは、多くの人々が彼らと一緒に恐れずに進む勇気を与えています。公式ファンダム名も「FEAR NOT」から取った「ピオナ」で、アーティストとファンが共に恐れずに進む姿を表しています。
2. メンバー個人の物語
LE SSERAFIM（ルセラフィム）がファンに伝えるメッセージに深い共感を呼ぶ理由は、メンバーそれぞれの個人的な物語や、グループ全体としての経験がそのメッセージと深く結びついているからです。キム・チェウォンとサクラは、IZ*ONEで活動した後、ルセラフィムで再びデビューしました。特にサクラは、日本のHKT48での活動経験があり、ルセラフィムは彼女にとって3度目のデビューとなります。
ヘオ・ユンジンは、IZ*ONEを生み出した「プロデュース48」で最終メンバーに選ばれずに一時は歌手の夢を諦めかけたこともありました。カズハは、練習生期間は短かったものの、15年間続けたバレエを諦めてK-POPアイドルの道を選択しました。一方で、最年少メンバーのホン・ウンチェは、チームに最も遅く加わり、練習生生活の困難さと初めてのデビュー環境の不安に直面しながら、多くの涙を流した経験があります。
これらのメンバーがそれぞれ異なる困難と挑戦を経験したにもかかわらず、ルセラフィムとして一つになった彼らからは不安を感じさせません。自分たちの選択に自信を持ち、堂々と前進しようというルセラフィムのメッセージは、彼らの個々の物語と重なり合い、強力なシナジーを生み出しています。特に、各メンバーの物語を推測させるような歌詞も含まれており、メッセージにさらなる真実味を加えています。
デビュー前からメンバー変更があったことも、ルセラフィムの物語の一部です。元々6人でデビュー予定だった彼らですが、デビュー直前に学校暴力の疑惑が持ち上がったキム・ガラムが脱退し、5人組として再編成されました。新人グループにとって致命的な事態であるにも関わらず、「ANTIFRAGILE」のメッセージ、つまり困難にも負けない強い意志を持つことが、逆境を乗り越える力になりました。
3. 文化的拡張
LE SSERAFIM（ルセラフィム）は、音楽の世界だけにとどまらず、文学やファッションという異なる分野との融合を通じて、その活動の幅を広げています。彼らの曲では、文学作品からインスピレーションを得た楽曲が多く存在し、デビューアルバムに収録された「The Great Mermaid」や「Sour Grapes」は、それぞれ「人魚姫」と「狐とぶどう」の物語を基にしています。また、「Fire in the belly」では、特定の物語をモチーフにはしていませんが、ピノキオが鯨のお腹から脱出するように、心の中の情熱を燃やして冒険の勝者となる決意を示しています。さらに、この曲では、「私の仲間になれ！」というフレーズで、人気アニメ「ワンピース」を思い起こさせる表現も見られます。他の楽曲では、世界各国の古典や神話をモチーフにしており、これらの背景があることで、歌詞の意図を簡単に理解できるようになっています。
さらに、ルセラフィムはファッション界とも密接に関わりを持ち、「FEARLESS」、「ANTIFRAGILE」、「EASY」のトレイラーにランウェイのコンセプトを取り入れています。特に、「EASY」のメディアショーケースでは、メンバーたちがまるでモデルのようにランウェイを歩くパフォーマンスを披露しました。サクラはデビュー当初からこのランウェイコンセプトを取り入れた理由を、「ルセラフィムというチームが一つのブランドになればいいなと思って」と語っています。これは、ルセラフィムが単にスタイリッシュな衣装を着こなすだけでなく、ファッション界の重要なコンセプトを取り入れることで、彼ら独自のブランド価値を築き上げていることを示しています。このように、ルセラフィムは音楽だけに留まらない幅広い活動を通じて、独自のアイデンティティを確立し、ファンを惹きつけています。
4. 自己管理の重要性
ルセラフィム（LE SSERAFIM）は音楽だけでなく、メンバーの外見や健康に対する取り組みでも多くの人々から支持を得ています。特に彼らの自己管理とフィットネスへの取り組みは「キン（筋）セラフィム」というキーワードで象徴されており、これは「筋肉」と「ルセラフィム」を組み合わせた造語です。メンバー全員が運動を積極的に取り入れ、楽しんでいる様子がこの言葉からは伺えます。特に、15年間バレエをしていたカズハの腹部にある11本の筋肉は、多くの人々の注目を集めました。また、他のメンバーの背筋なども人気があります。
ルセラフィムのこの健康的で強い身体は、ただ見た目が良いというだけでなく、彼らの音楽とは別の観点からもファンに受け入れられています。実際、ルセラフィムの運動ルーティンはファンの間で共有され、「ルセラフィムチャレンジ」として、彼らの曲に合わせて腹筋運動をする動きも見られました。過度にダイエットをして痩せた身体を目指すのではなく、バランスの取れた食事と運動によって健康的で強い体を維持する彼らの姿勢は、音楽だけでなく、自己管理の大切さを伝えるモデルとしても機能しています。
5. 終わりなき挑戦
ルセラフィムは、否定形の三部作に続いて、人気ゲームであるオーバーウォッチとのコラボレーションによる英語のデジタルシングル「Perfect Night」をリリースしました。このイージーリスニングベースの曲は多くのファンに愛され、長い間音源チャートの最上位に留まりました。この特別なコラボレーションは、彼らの物語が完全に反映されたというよりは、新たな可能性を示す活動に近いものでした。
そして、彼らが積み重ねてきた物語を拡張したアルバムが、「EASY」です。このアルバムでは、初めて否定形を取り除き、ステージの裏側の不安や悩みという正直な感情を表現しています。「暗がりの中をさまよう」「妬み、疑い、不信、これからは私の友だ、世界に対しては半分のセラフィム」という歌詞は、ルセラフィムが感じる思いをストレートに伝えています。
しかし、彼らの自信は決して失われていません。「EASY」では、「傷ついても歩き続ける、簡単ではないけれど、私はそれを簡単にしてみせる」というメッセージが込められています。このアルバムの全てのトラック、特に「Good Bones」「Swan Song」「Smart」では、ルセラフィムが自己確信に満ち溢れている様子が描かれています。
「EASY」が話題になった理由
LE SSERAFIM（ルセラフィム）の新曲「EASY」が話題になった理由は、彼らが毎回カムバックするたびに公開する斬新で物語を感じさせるティーザー映像が特に注目を集めたからです。特に「EASY」のティーザーは、ルセラフィム特有の感性を反映したアニメーションのようなナレーションと、ルセラフィムである過程が決して容易ではなかったけれども、ルセラフィムであるからには容易に見せることができるという内容で、ファンから好評を博しました。彼らの曲は登場から独特のエネルギーがあり、リスナーの野望をかき立てるのが得意です。
「EASY」は全体的にポップソングのようにリラックスしながらも、ヒップな雰囲気を持っています。しかし、曲のタイトルとは異なり、ダンスは「容易（イージー）」ではありません。ルセラフィム自身も、「これまでのタイトル曲の中で最も難しい振り付け」と言っています。曲のタイトルのように簡単なダンスではないにもかかわらず、ルセラフィムが踊ることで簡単でトレンディでかっこよく見えるようです。そのため、この曲はダンスを見ながら聴くと、曲がより完成された感じがします。
不安であっても堂々と前に出ることができるのは、最終的には自分自身への確固たる信念が根底にあるからです。そして、この信念が変わらない限り、ルセラフィムの仲間はこれからも増え続けるでしょう。
