
CEMとは?CRMは聞いたことあるけど?
CEM(Customer Engagement Management)とは、製品やサービスに関する顧客の経験を戦略的に管理し、顧客経験に重点を置いて製品やサービスを革新していく方法です。顧客関係管理と言われるCRM(Customer Relationship Management)と似たような感じはしますが、CRMを補完する形で登場した概念です。
CRMは顧客のお住まい地域や年齢、購入金額、履歴などのデータを分析し、有意義な戦略を立てられます。そのため、経営戦略などですごく注目され多くの企業が導入していました。
ただし、CRMでは数値化されたデータのみでドライな分析しかできないため、顧客の心理的なところを見落としてしまうので、限界がありました。そこで、代替え案としてCEMが登場します。
CEMはコロンビア大学のバーンドシュミット氏が自分の本で紹介して広まった用語になります。単純に顧客の購入履歴を単純に分析するより、特定ブランドを経験する全ての状況や心理的なプロセスに着目し、マーケティングに活用することです。CRMが単純にITシステムの面でアプローチすることに対して、顧客の声を聞くことを大事にすることと思えば良いです。
CEMの活用
特に顧客との接点が多い業界からCEMに対する需要が増えています。例えば、ヒルトンホテルは予約時から部屋に入った時の気持ち、ルームサービスなど顧客と触れ合う全ての接点を分析した結果、既存の顧客データベースからはわからなかった新たなインサイトを得て顧客満足度を大きく改善できました。
他にCEMの代表的な事例として言われるのが、エイビス(Avis)レンタカーです。競合ブランドより顧客満足度が徐々に減っていたため、顧客がレンタカーを使用するプロセスを事細かく分析し、その中で顧客が不便と思うところを見つけて改善しました。顧客がレンタカーを返却する際に、飛行機のフライト時間へのプレッシャを感じていることに気づき、レンタカーの返却場所に飛行機のフライト時刻を表示するディスプレイを設置したことが挙げられます。このような情報は単純なデータ分析からは読み取れないようなものです。
また、マグドナルドは人口統計学的な分析より、8~13歳の子供がミルクシェイクの主要顧客と判断し、子供向けの大々的なマーケティングを行なったが、失敗しました。それ以降、より細かく販売パターンを調査した結果、朝早くドライブスルーでミルクシェイクを購入する人が多いということに気づき、サラリーマンのための朝のセットメニューで大きく成功しました。
このようにCRMが単純に顧客との関係で発生した正確な数値や事実に基づいて顧客関連情報を活用する戦略であることに比べて、CEMは顧客との関係だけではなく、現場の雰囲気や状況、顧客の細かい感情や行動まで分析していくことです。企業の立場からするとより顧客へ寄り添って製品やサービスを開発、改善していくという戦略です。
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