顧客経験管理(CXM, CEM)とは何か?:お客様の感情を攻略するマーケティング

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1. はじめに:CEMとは?CRMは聞いたことあるけど?

顧客経験管理(CXMまたはCEM)は、企業が提供する製品やサービスに対する顧客の全体的な経験を設計・管理するビジネス戦略です。この記事では、顧客経験管理が何であるか、なぜそれがビジネスにとって重要なのか、そしてどのように実施するのかについて解説します。

1.1. 顧客経験とは

顧客経験とは、顧客が製品やサービスを使用する過程で感じる一連の感情や印象です。これには、製品の購入から使用、サポート、最終的にはリピート購入または推薦に至るまでの全体的なプロセスが含まれます。顧客関係管理と言われるCRM(Customer Relationship Management)と似たような感じはしますが、CRMを補完する形で登場した概念です。

1.2. 顧客経験管理の目的

顧客経験管理の主な目的は、顧客が製品やサービスとの接触ポイント(タッチポイント)ごとに良い経験をするようにすることです。これにより、顧客満足度が向上し、ロイヤルな顧客が増えることが期待されます。

1.3. 顧客の旅路(カスタマージャーニー)

顧客経験管理は、顧客が製品やサービスに最初に触れる「認知」から、製品を試用し「考慮」、購入して「使用」、さらには「ロイヤリティ」を持つまでの一連の過程、いわゆる「カスタマージャーニー」に焦点を当てます。

1.4. 企業内での役割

この戦略は、マーケティング部門だけでなく、製品開発、カスタマーサポート、販売チームなど、企業全体で協力して行う必要があります。すべての従業員が顧客経験の向上に貢献する文化を作ることが、成功する鍵です。

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2. 顧客経験管理の具体的な手法とツール

顧客経験管理(CXM、CEM)を成功させるには、多くの手法とツールが存在します。この章では、それぞれの手法とツールについて詳しく解説し、その効果的な活用方法についても触れます。

2.1. ヒートマップツール

ヒートマップツール(例:Hotjar、Crazy Egg)は、ウェブページ上でユーザーがどのエリアに注目しているかを視覚的に表示します。これにより、どのコンテンツが注目を集めているか、どのCTAボタンが効果的かなど、ページの最適化に役立ちます。

2.2. セッションリプレイ/録画ツール

セッションリプレイツール(例:Heap、Contentsquare)は、ユーザーがウェブサイトでどのような操作をしているのかを録画します。これにより、ユーザーがサイト内で迷っているポイントや、改善が必要なエリアを特定できます。

2.3. Net Promoter Score(NPS)ツール

NPSツール(例:Delighted、AskNicely)は、顧客ロイヤリティを測定するための簡単な質問を自動化します。これにより、顧客満足度とロイヤリティのトレンドを時系列で追いかけることができます。

2.4. Voice of the Customer(VoC)プラットフォーム

VoCプラットフォーム(例:Medallia、Qualtrics)は、顧客からのフィードバックを一元管理し、それを分析するツールです。顧客の声を直接聞くことで、製品やサービスの改善点を明らかにします。

2.5. A/Bテスティングツール

A/Bテスティングツール(例:Optimizely、VWO)を用いて、ウェブページやメールマーケティングなどの異なるバージョンを比較検討することができます。これにより、より高いコンバージョン率やユーザーエンゲージメントを得られるバージョンを見つけ出します。

2.6. チャットボットとAI駆動のサポート

リアルタイムで顧客対応を行うチャットボットやAI駆動のサポートツール(例:Intercom、Drift)は、顧客が問題をすぐに解決できるようにします。これが顧客満足度の向上につながります。

2.7. パーソナライゼーションエンジン

パーソナライゼーションエンジン(例:Dynamic Yield、Salesforce Marketing Cloud)は、ユーザーデータと行動に基づいて個々の顧客に合わせたコンテンツやオファーを表示します。

3. 顧客経験管理の成功事例

顧客経験管理(CXM、CEM)を効果的に活用することで、多くの企業が顧客満足度の向上や売上増加を実現しています。
例えば、ヒルトンホテルは予約時から部屋に入った時の気持ち、ルームサービスなど顧客と触れ合う全ての接点を分析した結果、既存の顧客データベースからはわからなかった新たなインサイトを得て顧客満足度を大きく改善できました。

他にCEMの代表的な事例として言われるのが、エイビス(Avis)レンタカーです。競合ブランドより顧客満足度が徐々に減っていたため、顧客がレンタカーを使用するプロセスを事細かく分析しました。その中で、顧客がレンタカーを返却する際に、飛行機のフライト時間へのプレッシャを感じていることに気づき、レンタカーの返却場所に飛行機のフライト時刻を表示するディスプレイを設置したことことで、顧客満足度を向上させました。このような情報は単純なデータ分析からは読み取れないようなものです。

また、マグドナルドは人口統計学的な分析より、8~13歳の子供がミルクシェイクの主要顧客と判断しマーケティングを行なったが、大失敗しました。その後、より細かく販売パターンを調査してみたら、朝早くドライブスルーでミルクシェイクを購入する人が多いということに気づき、サラリーマンのための朝のセットメニューで大きく成功しました。

このようにCRMが単純に顧客との関係で発生した正確な数値や事実に基づいて顧客関連情報を活用する戦略であることに比べて、CEMは顧客との関係だけではなく、現場の雰囲気や状況、顧客の細かい感情や行動まで分析していくことです。企業の立場からするとより顧客へ寄り添って製品やサービスを開発、改善していくという戦略です。

3.1. 導入前と後でのNPSスコアの改善

あるeコマース企業は、NPSツールを活用して顧客のフィードバックを収集しました。導入前はNPSスコアが30だったものが、1年後には70まで向上。これは主にサポートプロセスの改善と製品の品質向上によるものでした。

3.2. パーソナライゼーションによる売上増

大手レテール企業がパーソナライゼーションエンジンを導入した結果、オンラインでの売上が20%増加しました。顧客一人ひとりに合った商品推薦が、購買意欲を高めたと分析されています。

3.3. チャットボットによる問い合わせ対応率の向上

金融機関がAI駆動のチャットボットを導入したところ、問い合わせ対応率が95%に達しました。それまで時間がかかっていた問い合わせ対応が劇的に速くなり、顧客満足度も向上しました。

3.4. ヒートマップとA/Bテストの併用

あるウェブサービス企業は、ヒートマップとA/Bテスティングを併用することで、ウェブページの改善を行いました。その結果、コンバージョン率が15%向上し、登録ユーザー数も大幅に増加しました。

3.5. ソーシャルメディアリスニングでのブランドイメージ向上

食品メーカーがソーシャルメディアリスニングツールを活用することで、消費者のニーズにすばやく対応。これにより、ネガティブな評価が減少し、ブランドイメージが向上しました。

4. 顧客経験管理を成功させるためのポイント

顧客経験管理の成功事例を紹介した後、次に考慮すべきはその成功をどう維持し、さらにはどう拡大するかです。この章では、そのためのポイントをいくつか紹介します。

4.1. 全社一丸の取り組みが必要

成功するためには、マーケティング部門だけでなく、製品開発、カスタマーサポート、営業部門など、全社一丸となって顧客経験を高める活動を行うことが重要です。

4.2. データを活用する

顧客から得られる各種データ(購買履歴、クリック履歴、問い合わせ履歴など)をしっかりと分析し、その結果をもとに改善策を練ることが大切です。

4.3. 継続的な改善

一度成功を収めたからといって、それで満足せず、常に顧客の声を聞き、新しい技術や手法を取り入れて継続的に改善を行うべきです。

4.4. 顧客とのコミュニケーション

顧客が何を求め、何に困っているのかを理解するためには、直接コミュニケーションを取ることが有効です。これには、SNSやメールマーケティング、さらには直接イベントを開催するなど、多様な方法があります。

4.5. 従業員教育

顧客経験管理は、従業員一人ひとりの意識やスキルにも大きく影響されます。従って、顧客対応スキルの向上を目的とした研修や教育プログラムの充実が求められます。

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5. まとめと今後の展望

顧客経験管理(CXM、CEM)は、今後も企業にとって避けては通れないテーマ性となるでしょう。このブログでは、顧客経験管理の基本的な考え方から、成功事例、そして成功を維持・拡大するためのポイントまでを解説しました。

5.1. まとめ

  • 顧客経験管理は、顧客がブランドやサービスと接する全てのポイントでの経験を最適化する戦略です。
  • 成功事例を通じて、多様な手法やツールの組み合わせが効果的であることが示されました。
  • 成功を維持・拡大するためには、全社一丸となった取り組みと、継続的な改善が必要です。

5.2. 今後の展望

  1. テクノロジーの進化: AIや機械学習の進化により、更に精緻な顧客分析と個別対応が可能となるでしょう。
  2. オムニチャネル戦略: オンラインとオフラインの融合が進む中、顧客経験管理もこれに適応していく必要があります。
  3. サステナビリティ: 環境や社会への配慮も、顧客経験と密接に関連しています。サステナビリティを考慮した戦略も求められるでしょう。

最後に、顧客経験管理は決して一度きりのプロジェクトではありません。市場環境や顧客ニーズは常に変わっていくものですから、それに柔軟に対応し続けることが、持続的な成功を収める鍵となります。

顧客との強固な関係を築くためにも、顧客経験管理に積極的に取り組むことが重要です。それでは、成功ある顧客経験管理をお祈りします。

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