激戦！Google Bard vs. ChatGPT：AI対決の行方

February 17, 2023September 27, 2023

2023年2月、Googleは注目のイベントを開催しました。その焦点は、Googleの対話型AI「バード（Bard）」の紹介でした。バードの基本機能、使用エンジン、将来の可能性を垣間見ることができました。

本来であれば、バードの登場に世界中の人々が驚嘆するはずでした。しかし、昨年公開されたChatGPTの登場により、Googleの発表には新しさが感じられませんでした。対話型AIの領域において、GoogleはChatGPTに追いすがる立場となりました。さらに、マイクロソフトはChatGPT技術を自社の検索サービスBingに統合すると発表し、Googleにとって厳しい状況が続いています。

果たして2023年は大きな変革の始まりなのでしょうか？結論を出す前に、Google BardとChatGPTの対決において注目すべき3つのポイントについて詳しく見てみましょう。

1. Googleの沈黙の理由

Googleが対話型AIに関してこれまであまり発言していなかったわけではありません。

バードのエンジンであるLaMDA（Language Model for Dialogue Applications、対話型アプリのための言語モデル）が公開されたのは2021年で、その後も継続的な更新が行われています。音声通話をヒトの代わりに行う「Google Duplex」は、実は2018年に公開されたサービスであり、音声アシスタントの「Googleアシスタント」も対話型AIの一面を示していました。

ただし、Googleは慎重である必要がありました。対話型AIは魅力的な外見とは裏腹に、多くのエラーや憎悪的な発言を伴うことがあり、広告収益にも悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、Googleは情報の多くを担当し、世界中の情報の流れを一部負担している立場から、対話型AIを公開する前に十分に洗練させたかったでしょう。

しかし、比較的自由な立場にあるOpenAIがChatGPTを公開したことで、状況は変わりました。ChatGPTの提供するエクスペリエンスは驚くほど優れていました。公開からわずか2ヶ月で月間アクティブユーザー数が1億人に達し、ニュース記事に「ChatGPTがGoogle検索を置き換えるかもしれない」という見出しが現れるようになりました。

なお、OpenAIの最大の株主はMicrosoftです。MicrosoftはBingに（ChatGPTをベースにした）対話型AIを統合すると発表し、既にベータテスト中です。これにより、Googleが取り残されることは避けられませんでした。

2. 検索エンジンの終焉？

バードの機能はChatGPTと同様です。質問やリクエストを入力すると、テキストベースの回答が得られます。情報の検索や文章の生成も可能です。バードの最大の利点は、Google検索と結びついていることでしょう。「今日のドル・ウォン為替レートは？」などの質問に答えることができる意味です。もちろん、天気や為替などの情報は対話型AIを使わずとも提供されています。既にキュレーション形式で提供されているためです。

しかし、対話型AIを通じて得られる情報の範囲は広がるでしょう。バードのデモンストレーションのように、「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が発見した中で、9歳の娘に話す価値があるものは何か？」と尋ねることができるでしょう。

バードはGoogleの検索体験を大きく変えるでしょう。現在、Googleで検索すると、トップや右側に要約された重要な情報が表示されますが、ここにバードの回答が入る可能性が高いです。”今日の天気”などの検索キーワードには要約が表示され、より複雑な質問にはバードの回答が表示される形になるでしょう。もちろん、バードと1:1で対話するための専用インターフェースも提供される予定です。私たちにとって馴染み深いGoogleのUI内で。

3. AIよりもビジネス構造が真の鍵

実際のところ、正確には「Google vs Bing」と言うべきかもしれません。対話型AI自体も重要ですが、それを検索サービスとどのように統合し、どのような体験を提供するかが最も重要です。両者の方向性は同じです。ユーザーが検索すると、検索結果とともにAIの回答も表示される仕組みです。必要に応じてAIと1:1で対話することも可能です。ただし、Bing AIはBing.comだけでなく、Edgeブラウザにも搭載される予定です。つまり、どのサイトにアクセスしてもBing AIがサポートしてくれることを意味します。Bing AIのデモには素晴らしい例がありました。ユーザーがファッションブランドGapの投資レポートPDFを開いて、「重要な部分を要約してくれ」と書くと、Bing AIが瞬時に回答を生成しました。ここまではChatGPTの公開時にも確認した機能ですので、予想通りでした。しかし、「Lululemonと比較して」と命じると、GapとLululemonの成績を比較した要約を問題なく提供しました。驚きました。比較のためにLululemonの投資レポートを探す必要さえありませんでした。残念ながら、Google BardとGoogle Chromeの統合についてはまだ公式な発表はありません。ただし、「Microsoftの勝利！Googleの敗北！」と断言するのはまだ早いでしょう。Googleはより大きな発表を準備している可能性があり、時間が経過するにつれて、BardがChatGPTよりも洗練されていく可能性があります。実際のところ、市場の雰囲気が変わるのは事実です。ただし、AIの完成度やユーザーエクスペリエンスは、長期にわたってユーザーの検証を受ける必要があります。