UI/UXデザイナーとは
UI/UXデザイナーにとって、ユーザーの行動パターンを把握し理解することは最も基本的な要素です。特にモバイル内でのユーザーのパターンは、わずかな違いでも利便性と不便さを区別します。ユーザーを理解せずに作られるサービスや製品は、一方的な要求に過ぎず、人々の自然な行動を導く構造を計画し設計するUI/UXデザイナーにとって、「行動」を導く要因を見つけることは非常に重要です。
サイモン・シネックとゴールデン・サークル
TEDの有名な講演者、サイモン・シネック(Simon Sinek)は、「偉大なリーダーが行動を導く方法」という動画の中で、「ゴールデン・サークル」という概念を語っています。行動を導くためには、その「行動」がどこで、どのように始まるかを知ることが非常に重要です。ゴールデン・サークルの概念を理解することで、その核心を理解できます。
ゴールデン・サークルは、中心が同じ3つの円で構成されており、これは人の脳の構造と類似しています。「Why(なぜ)」「How(どのように)」「What(何を)」からなるゴールデン・サークルの円々は、人が考え、行動するまでの流れを説明します。私たちが何らかの行動をしたいと思ったとき、3つの円の中央に位置する「Why」が最も大きな役割を果たします。ここでの「Why」は、何かの存在の目的、理由、方向性を表します。つまり、人が刺激を感じ、その刺激が行動につながるためには、意識の最も奥に置かれる「目的、理由」などが必要だということです。
「What」と「Why」の違い
では、一体ゴールデン・サークルで語られる「What」と「Why」の違いは何でしょうか?なぜ、これらが消費者の嗜好や忠誠心を生み、購買などの行動を導くことになるのでしょうか?これについてサイモンは次のように説明しています。
「それは、人間の脳の構造によるものです。合理的な思考や分析、言語などは脳の新皮質が担当します。新皮質を通じて、私たちは情報やデータを理解することができます。私たちが製品の特長を理解できるのも新皮質を通してです。例えば、ある企業が顧客に自社製品がなぜ素晴らしいのか詳細に説明するとしましょう。それを理解するのは新皮質の役割です。しかし、新皮質は顧客の行動をコントロールできないという問題があります(製品の特長などを伝えても、顧客の「購入」という行動に結びつかないという意味です)。人間の行動は大脳の辺縁系がコントロールします。辺縁系は人間の感情を担当します。企業の「Why(なぜ)」、つまり信念や目的などは感情と結びつき、辺縁系に作用します。したがって、企業が自社のWhyを顧客に伝え込むことで「購入」という行動を導くことができるのです。」
脳の外側には、具体的で論理的な思考を担当する「新皮質」があります。ゴールデン・サークルの「How」と「What」に該当する部分です。一般的には相手の感情よりも論理的に納得や理解をさせることが行動を誘導しやすいと考えられます。これが「新皮質」が担当する部分であり、ゴールデン・サークルの「How」と「What」に該当する部分です。
しかし、本当に行動を導く部位は理性と論理を担当する新皮質ではなく、感情を担当する辺縁系です。「Why」に該当する部分です。それでは、感情を担当する機関が人の行動まで引き起こすのはどうしてでしょうか?
私たちは一般的に「心が動く」という表現を使います。結局、心が動くと身体が自然にその心を追いかけたくなります。つまり、心を動かす要素が自然に行動を引き起こすことになります。これは脳の構造と関連しており、ゴールデン・サークルの中でも最も深い位置にある「Why(なぜ)」が直感的で抽象的な思考を担当する脳の辺縁系を刺激します。辺縁系は、簡単に言えば人間の感情を担当する機関です。
ここで新たに知ることになる事実は、人間が「感情」を通して行動の有無が決まるということです。日常生活でもこれを裏付ける無数の例があります。年初に立てたダイエットや運動計画、英語の勉強、貯金などです。論理的にはやらなければいけないと理解はするが、やりたい気持ちはなかなか生まれない目標です。結局、心が動かない目標は行動につなげることがなかなか容易ではありません。
UI/UX領域での重要性
UI/UX領域では、この論理が非常に重要な理由がここにあります。ユーザーは誰もが手間や厳格さ、複雑な手順を好みません。特にモバイル環境などの狭く限られた領域では、自然にクリック、スクロール、ダウンロードなどができるように導くことが重要です。そのためには、ユーザーの心が自然に動き、反応できる構造を研究し作成することが重要です。
いくら論理的に理解を求め、誘導をしても、彼ら自身が行動したくなるようなUIを作れなければ、良いUI/UXとは言えません。ゴールデン・サークルで得られる「Why」の持つ力を正しく理解し、それをUIに実装すれば、より能動的なユーザー体験を生み出すことができます。
このように、絶え間なく人を研究し、行動を研究し、習慣を把握してユーザーのパターンを知ることができれば、望んだ企画意図どおりにユーザーを導くことはもちろん、ユーザーにも満足感を与える成功的なサービスを提供することができるでしょう。