目の前であなたの話を聴いている人があなたのアイデアを活かすことも、潰すこともできるとしましょう。どのようにプレゼンテーションを構成すれば、相手を説得できるのでしょうか?
私が解決したい問題はこれです!
慣れている専門家でさえ、プレゼンテーションを提案するソリューション(解決策)から始めます。しかし、ソリューションを提案する前に、問題のコンテクスト(脈絡)を提示し、その状況の中でこのプレゼンテーションと解決策がどれほど重要であるかを発表の冒頭に明確に理解させる必要があります。提案された解決策が彼らの状況と問題意識に適していると感じるとき、人々は聞く耳を持ちます。
今でしょう!
提起された問題は適切かもしれません。しかし、なぜ今、今までやってきたことを変えなければならないのか?なぜ今すぐに行動を起こさないといけないか?
今すぐ問題に対応しなければならないし、このままだとさらに悪化するという緊張感を持たさせなければなりません。そうでなければ、もう少し待ってみようとか、他の優先度が高いことから手をつけようという反応になりえます。今すぐに行動しなかった場合に発生する費用を明確かつ生々しくに伝えなければなりません。
検証されたアイデアか?
発表者がたくさん考えて、発表に時間をかけたとしても、意思決定者はその努力は見抜けないかもしれません。
だからといって長々と発表までの過程と努力を説明する必要はありません。提示する解決策に対する真剣さとそれを裏付ける論拠の明確さを説得力を持たせてアピールすべきです。例えば、100人以上の専門家をインタビューしたり、提案内容を検証するために3回ほどパイロットテストを行ったりすることに明示的に言います。冒頭に報告の概要を話すとき、このような検証を行ったことを明確にした方が良いでしょう。
構造は単純化されているか
発表者は自分が提案する内容に慣れすぎて、複雑な流れや細かな部分も理屈が通ってるように感じてしまいます。しかし、この発表を初めて聞く人はなかなか難しく感じます。
伝えたい情報をどのように簡単かつ簡潔に表現するかを工夫する必要があります。そのプロセスを一連の段階に分けて説明できなければなりません。しかし、実務者の立場から解決策を導く実際のプロセスは非常に複雑な場合もあります。これを聞く人の立場で簡潔なプロセスとしてまとめて説明すべきです。そうすることで、聴く人は複雑な解決策を簡単に理解できるし、発表内容にもより深く関心を持ち信頼感を示してくれると思います。
ストーリーがあるか?
専門家たちは「事実はこれだ!」といったような態度を見せる傾向がある。そして発表資料はストーリーよりも数値と事実で埋まってしまいます。
短くて面白い話を交えたプレゼンに慣れていなければ、不愉快に感じることもあり得ます。しかし、ストーリーを活用できなければ、聴き手の心を動かすスキルを一つ使えないことになります。ストーリーは、単純にそれぽい物語を作り出すことではありません。数値だけでは何の意味か伝わらないようなただのデータだが、メッセージを生々しいストーリーが交えると、聴く人の心に残像を残せるようになります。
次のアクションに繋がる内容で終わっているか
ほとんどの専門家もよく見落としてしまうことは、プレゼンテーションの終わりに行動(アクション)に繋がる明確なメッセージを伝えることです。例えば、新規事業に投資決定をしたり、特定のプロジェクトに全面的な予算を配分したりすることです。
このようなアクションは、発表の導入部では考えにくいです。しかし、後半に至るまで、発表をうまく導いてきたなら、聞いた人たちは発表者の味方になっているはずです。そして最後に支持を示すためにはどんな行動をすべきかはっきり提示しなければなりません。
Source: Dorie Clark (Oct 2016), “A Checklist for More Persuasive Presentations”, HBR Blog