20:80の法則 パレートの法則
居酒屋やご飯を食べに行くといろんなメニューがずらっと並んでいる景色を見たことあると思います。いろんなメニューの中でよく売れるメニューにはあるルールが存在すると言われています。それは20%の人気メニューの売上がお店全体の売上の80%を占めているというルールです。このようなルールをパレートの法則と言います。
限られているリソースで成果を出さないといけない企業からは、売れている20%の製品やサービスを管理することで、売上の80%を管理する効果があります。
パレートの法則はイタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレート(Vilfredo Pareto)の名前が由来になっています。イギリスの所得と富について研究していた彼は、20%の人口が80%の富を所有していることに気が付きます。もっと具体的には10%の人口が65%の富を、5%の人口が50%の富を所有していました。しかもその結果をもとに別の国を調査してみても似たような比率でした。
富以外にもパレートの法則が適応されるところはたくさんあります。大手企業などの大きい組織では、20%の従業員が業務の80%を行うといった調査もあります。それだけではなく、20%の交通ルール違反者が全体交通ルール違反の件数の80%を占めているという統計もあります。
このようなパレートの法則は企業のビジネスシーンでよく使われます。顧客管理の面では、20%の顧客が80%の売上に貢献しているので、20%の顧客を特別に管理することに力を入れます。VIP顧客やプレミアム会員などの制度を作って特別な顧客として管理しながら、さまざまな特権を与えるのはその理由です。
また、品質管理にもパレートの法則が利用されます。不良品の20%が全体損失の80%の原因になるため、20%の不良品を探し、集中的に改善すれば、全体損失の80%を減らせることになります。プログラミングでは20%の誤ったプロセスのソースコードを修正すれば、バグの80%が直るといいますし、もうそういった観点でソフトウエア開発が行われています。
80%に注目 ロングテール法則
パレートの法則が20%の重要性に着目し、コストパフォーマンスを高める戦略です。ただし、時代が変わって80%の該当する部分の重要性が浮上します。そのきっかけはインターネットのようなオンライン市場を中心に広まりました。
ロングテールの法則とい言葉は、アメリカのIT系マガジンである「Wired」の編集長クリス・アンダーソン (Chris Anderson)によって使われるようになりました。デジタル経済の新たなパラダイムを定義するときによく使われます。
インタネット書店として始まったアマゾンでは年に1~2冊程度売れる程度の80%の一般本の売上が20%のベストセラー本の売上より多いそうです。並べ方やマーケティングが大事なオフライン書店とは異なって、オンライン書店ではそういう仕掛けがなくても十分商売になるということになります。
このようにオフラインで注目されていなかった、80%のユニークで様々なアイデア商品等がオンライン上では、可能性を見せてくれました。しかし、最近はオンライン上でもロングテールの法則よりパレートの法則に近くなっていく現象が起こっています。
オンラインがオフラインに似たスペースに進化していくため、オンラインショッピングサイトなどのECサイトもオフラインのように、人の目に映りやすい場所やクリックされやすいスペースに露出される商品中心に販売されるようになるからです。売り上げが低い商品は露出頻度が少なくなり、苦戦してしまうのはオフラインと同じようになってきたからです。
マーケティングの観点でも、オンラインECサイトの競争が激しくなっており、オンラインストアの経営も会員全体をターゲットにする戦略ではなく、購買力がある上位20%の顧客を中心に戦略を展開していく傾向が強くなっています。オンラインとオフラインの区別があまりなくなっていく時代においては、ロングテール戦略より、パレートの法則がより効果的になるかもしれません。